◆地表、航空機、衛星による観測は、温室効果ガスであるメタン(CH4)の大気中濃度が過去30年間(1988–2016年)に大きく変動したことを示しています。
◆気候変動の緩和策策定の際には温室効果ガスの放出分布や起源を正確に把握することが重要ですが、本研究では大気化学輸送モデルによる逆解析を利用して、それらが長期的にどのように変化しているかを詳細に調べました。
◆これまでは未解明だった大気中CH4濃度の増加率の鈍化(1988–1998年)および一時的な停滞(1999–2006年)の要因について、石油や石炭の採掘による放出量の減少や自然の気候イベントによる放出量の変動によって生じたことが分かりました。
◆2007年以降にCH4の大気中濃度が再び増加し始めた主要因は、中国での石炭採掘や、南アジア・東南アジア・南アメリカ・アフリカ地域での畜産業の成長などの人間活動です。