災害ブラタモリ企画〜災害に備え、地域を知る「まち歩きプログラム」〜にガイド役として参画しました。
千葉大学看護学部の石橋みゆき先生が代表の科研(挑戦的萌芽:災害シチズンサイエンス研究手法の開発:課題番号19K222739)に研究協力者として参画しています。科研のメンバーは、他に千葉大学園芸学研究科の岩崎寛先生、看護学研究科の黒田久美子先生・佐藤奈保先生、成田赤十字病院救命救急センター副センター長で千葉県災害医療コーディネーターの立石順久先生、武蔵野大学看護学部の坂上明子先生、千葉県立保健医療大学の雨宮有子先生、元東邦大学の高橋良幸先生です。
科研の定期会合の議論を通じ、「結局はその土地についての深い理解が、災害に強いコミュニティを形成している」という共通認識が生まれてきました。この認識を確かめるために、「自分たちの居住地または通勤・通学している地域において災害にあった際、既存の知識や経験を活かして安全な無所に避難・移動できるようになる」ことを目的として、NHKの人気番組である「ブラタモリ」になぞらえた“まち歩き”を実際に行ってみようということになりました。ただし、ただ漫然と歩いても気付きは生まれ難いため、以下のシナリオを設定しました。
<シナリオ>
大雨でJR千葉駅周辺が浸水する状況。指定された避難場所を知らなかったので、高台で防災用品等の場所がわかる亥鼻キャンパスに避難することにした。
<設定>
出かけた際に千葉駅周辺で、いきなりの大雨による浸水にあう。亥鼻キャンパスまで安全に移動しなければならない。
12月8日午後にまち歩きを実施しました。参加者は看護学部、園芸学部の学生大学院生をメインに20名弱であり、千葉駅-都川支流-千葉神社-都川-県庁-亥鼻キャンパス、とあえて迂回することでブラタモリお得意の「高低差」を参加者に感じてもらいました。歩きながら水文学、地理学の観点での解説を私が行い、千葉県の災害医療にも深く関わっている立石順久先生が救命救急の観点から解説を行うスタイルで2時間ほどまち歩きをしました。亥鼻キャンパス到着後、振り返りのレクチャーと参加者全員の振り返り(コメント、感想発表、意見交換)を行いました。
企画としては非常に大きな手応えを私自身感じることができました。想定していた以上に多くの参加者が、普段意識していない気付きをまち歩きを通じて感じてもらったことだけでなく、例えば地球科学を学んだ学生が自分の専門性を再認識できる気付きが、このような企画を継続的に実施することによって根づくのではないか?ということです。千葉大学は他の国立大学と比較してかなり特色のある学部、学科で構成されています。こうした特殊性を上手く活かす上でも、「まち歩き」をベースにおいて異分野交流を推進する教育・研究の仕組みを設けることができれば、より面白く展開できると思えてきました。なにより、人生がより豊かになると思います。このような気付きの機会を与えてくださった、石橋先生をはじめとした科研チームに改めて感謝いたします。なお、このブラタモリに備え娘の七五三に参拝する名目で全く同じルートを事前散策したことは内緒です…(家族も高低差を楽しんでいましたが…)。
(樋口篤志)