量子計算機を用いたデータ同化計算の高速化に成功(小槻・岡﨑研究室)

 データ同化は、観測データと数値モデルを統合して、力学システムの解釈と予測を改善する数学的学問です。地球科学、特に数値気象予測 (NWP: Numerical Weather Prediction) において重要な要素となっています。現在、世界の多くの気象予測センターは、変分法、若しくは、アンサンブル変分データ同化手法を採用しており、勾配ベースの最適化によって繰り返しデータ同化のコスト関数を削減します。 ただし、これらの方法には、繰り返し計算に伴う大量の計算リソースが必要となります。
 最近、量子コンピューティングが計算技術の新しい手段として台頭し、古典的なコンピューターの計算上の課題の克服が期待されています。 量子コンピューターは、トンネル効果や、重ね合わせ、もつれなどの量子効果を利用して、計算需要を大幅に削減できます。 特に量子アニーリングマシンは、カナダのD-Waveにより実現されており、最適化問題を解決する強力なマシンとなっています。
 研究室では、この量子アニーリングマシンを用いたデータ同化研究を推進しており、今回量子計算機を用いたデータ同化計算に世界で初めて成功しました。量子計算機に特有のノイズ耐性や、必要な量子ビット数を抑える数理的研究など、まだまだ多くの研究と発展の可能性が秘められています。研究室しても、値気象予測モデルへの量子データ同化の実現を目指して引き続き研究を進めます。
 千葉大学から英文プレスリリースも出しましたので、ご関心をお持ちのかたはこちらも併せてご確認頂けますと幸いです。
Eyecatch Image Credit: Brett Jordan from Openverse https://openverse.org/image/563410ca-1385-475c-a7f6-fd521f910623
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