千葉大学環境リモートセンシング研究センターでは、グローバル環境・地殻変動観測用の世界最小・最軽量100㎏級小型衛星・円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)の独自開発を進めています。その一環としてこのたび、インドネシア・マカサル市内にて2018年3月2日~18日にインドネシア政府、インドネシア大学、日本無線株式会社、NEXTWAY株式会社の協力も得て、CN235航空機搭載CP-SARの飛行実証実験(Hinotori-C2ミッション)を実施し、世界初のCP-SAR画像の取得に成功しました。
■トピック1:GaNでレーダの高出力化・軽量化・低価格化を実現!
既存のマイクロ波リモートセンシングで用いられている合成開口レーダ(SAR)は質量が数百㎏と重いのに対して、千葉大学発の航空機搭載CP-SARシステムは窒化ガリウム(GaN)素子を用いることでピーク電力250ワットで、70kg以下に軽量化。独自に開発した円偏波アンテナでは、フル円偏波(送受信機の偏波:LL、LR、RL、RR)かつ広帯域の周波数(400MHz)での動作を小型アンテナ(長さ100㎝、幅80㎝)で実現しました。航空機搭載SARの従来の製作コストは、数億円と言われているので、今回のCP-SARの実用化ができれば数千万円で、大幅なコスト削減が可能です。現在、小型衛星用システムをはじめ、無人航空機、成層プラットフォーム搭載のCP-SARシステムの研究開発も進めています。