静止軌道衛星ひまわり8号を用いて、夏季晴天日における大阪の地表面温度の日変化を解析しました。その結果、従来の観測手法では捉えられなかった、地表面温度と海風との関係が確認されました。さらに都市構造との関係も確認され、中心市街地(梅田や難波)の周縁にあたる低層建物の密集地域で、日中の温度上昇が特に大きくなることが分かりました。この研究成果は1月10日に国際学術誌「UrbanClimate(Elsevier)」に掲載されました。
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千葉大学環境リモートセンシング研究センター特任助教山本雄平
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■研究背景
都市の地表面は、舗装や建物による人工被覆面で覆われています。人工被覆面は蓄熱性が高く保水性が低いことから、地表面温度の高温化(ヒートアイランド現象)の主要因とされています。ただ、実際の地表面温度の成因はより複雑で、気象状態や建物配置によっても変化すると考えられています。
都市全域の地表面温度観測には、これまで空間解像度の高い極軌道衛星が利用されてきましたが、極軌道衛星は観測頻度が低く(最大1日2回)、気象状態や建物配置による温度変化を捉えることは困難でした。一方で、静止軌道衛星のひまわり8号は10分毎に地表面温度を推定できます。従来の静止軌道衛星は空間解像度が粗かったため都市観測には利用されてきませんでしたが、新世代機のひまわり8号は空間解像度が2~3kmに向上しており、都市特有の複雑な熱特性を捉えられる可能性があります。