地球環境問題の重要性はいまや学問の世界にとどまらず、広く世界の人々に認識されており、社会的・経済的にも大きな影響をもつようになっています。衛星で観測されたデータは地球温暖化、氷域の変化、災害監視、砂漠化、植生量の評価、大気環境問題など、広域の地球観測を行う上で必要不可欠なツールとなっています。そして衛星リモートセンシングデータは、地上観測されたさまざまなデータとあわせて多くの問題に直接、間接に活用されるようになりました。
現在では、衛星リモートセンシングデータは、地球を診断するためにかかすことのできないものとなっています。最近では、衛星データは時間分解能や空間分解能の改善が求められ、センサの高度化に加え、複数の小型衛星による群観測も求められるようになってきました。また、さまざまなデータを統合してモデル化し、状態の把握や評価・予測、問題解決の提言も重要になってきました。
センサ開発、データのアーカイブ、データ解析(実時間解析)、情報抽出、結果(診断・評価)と処方のいずれもが重要となってきます。まるでウエアラブル端末をつけて、時々刻々と人体をモニタし、健康状態を診断・把握する計測システムの地球版です。別の見方をすると、リモートセンシングは、学際的で分野横断型の特徴があります。すなわち、地理学、気象学、大気化学、大気放射学、水文学、農学、園芸学、土木工学、都市環境工学、自然災害科学、応用光学、応用物理学、電気電子工学、情報工学、通信・信号処理工学など、多くの学術分野との関連があります。
千葉大学環境リモートセンシングセンター(CEReS)は、全国共同利用の研究センターとして1995年4月に発足し、リモートセンシング技術の確立と環境への応用に関する研究を担ってきました。
2010年には文部科学省から全国共同利用・共同研究拠点として認可され、国内外の大学や機関と年間55件を超える共同研究を実施しています。また、世界のさまざまな大学や機関と30件を超える協定や契約を結んで、リモートセンシングの深化・発展・人材育成を目的とする国際共同研究を推進しています。
CEReSでは、国内外のさまざまな分野の研究者と連携して社会的課題の解決に取り組んでいきたいと考えています。みなさまのご支援とご協力をお願いいたします。
千葉大学環境リモートセンシング研究センター
センター長 服部克巳