地球表層情報統合プログラム

地球表層情報統合プログラムでは、データの作成、統合、公開を基軸として大気圏、陸域の環境研究を推進する。取り扱うデータは衛星観測データ、地上観測データ、研究成果としての環境データである。本プログラムに含まれる主要な研究テーマは、衛星データの補正・前処理、膨大な量の衛星データの効率の良い処理手法の確立、衛星データと地上データの統合による環境モニタリング手法の開発、および衛星データからの大気・陸域の環境情報の抽出である。なお、本プログラムはCEReSとしての各種データの公開(VLおよび計算機データベース委員会業務)、共有システムの運用(CEReS Gaia)に密接に関わる形で運用する。

主な担当教員

VL(Vertual Laboratory)HP

第3期中期計画期間の研究課題(平成28~33年度の6年間)

  • 地上リモートセンシングを活用した地球大気環境の基盤研究として、CEReS主導の国際地上観測ネットワーク(SKYNET)とNASA主導のネットワーク(AERONET)の主力機材の調和観測を開始し、そのデータの品質に関する新しい知見を得る。
  • リモートセンシングを活用した地球大気環境の応用研究として、Aura/OMI等の衛星観測やSKYNET等の地上観測を活用してアジア域の各種大気成分(微量ガス、エアロゾルなど)の時空間分布を新たに明らかにする。
  • 温室効果ガス観測技術衛星2号(2017年度打ち上げ予定)の温室効果ガス観測センサ(TANSO-FTS2)の熱赤外スペクトルから従来からの二酸化炭素、メタンに加えて新たに気温、水蒸気の高度プロファイルを導出するアルゴリズムを開発し、衛星およびセンサの開発元である国立環境研究所と宇宙航空研究開発機構にデータ処理プログラムを提供する。
  • 日本の温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズ(GOSAT、GOSAT2)の二酸化炭素およびメタンの全球高度プロファイルの長期間データのデータ質を検証し、衛星観測による全球温室効果ガス濃度の長期傾向を明らかにする。
  • TRMM運用期間(1998-2014) の全球静止気象衛星降水ポテンシャルマップを開発・作成し、公開する。
  • MTSAT(2005-2015)期間での東・東南アジア域での衛星日射・降水量プロダクトを活用した陸域水循環過去解析を実施し、水循環過程を明らかにし、解析結果を公開する。
  • 気候診断に関わる4センター(東京大学大気海洋研、名古屋大学宇宙地球環境研究所、東北大学大気海洋変動観測研究センター、CEReS)の連携によりバーチャルラボラトリーを形成し、各センターの特色と研究資産を活かした研究と教育を分担・連携して実施する。
  • 地理空間データの共有システム(CEReS Gaia)を国際的に展開・運用し、情報統合による地球環境研究を推進する。
  • GCOMシリーズでの検証データシェアリングを行う(プログラム1との連携)。

重点課題:ひまわり8/9号データを活用したリモートセンシング手法の開発

  • ひまわり8号対応のマルチチャンネルを用いた高精度降水ポテンシャルマップを開発・作成する。
  • 準リアルタイムで高速可視化する技術を開発し、リモートセンシング手法による環境研究に活用する。

第2期中期計画期間の達成目標(平成22年~27年度の6年間)および代表的な成果

  • 静止気象衛星の全球での10年以上のデータセットの整備、校正、高次化を行い、それらのデータ公開を公開
  • 静止気象衛星データを中心として、とくに鉛直方向の計測、リトリーバルが可能な衛星データによる複合解析を実施し、大気のシームレスモニタリングを試行
  • 陸域ではグローバル樹木被覆率データセット、土地被覆データセットの高度化を推進
  • 地理空間データ蓄積共有システムCEReS Gaia の構築を開始

20年以上にわたるシームレスモニタリングによって長期の気候解析を行い、大気と陸域の相互連携研究を推進するとともに、地球環境情報拠点を実現する。

  • 地球観測衛星データ、とくに主要な地球観測衛星データの集積、校正、高度化を実施し、大気圏のシームレスモニタリングの長期化(気候解析)を実現
  • シームレスモニタリングで得られた知見を陸域プロダクト生成の前段階(データ校正、大気補正等)にフィードバックし、大気圏研究と陸域研究の相互連携を強化
  • GCOMシリーズでの検証データシェアリングにも貢献
  • 情報統合プログラム、あるいは他のプログラム、共同利用・共同研究で得られたデータを公開し、総合環境情報拠点の一つの完成形を目指す。

グローバル土地被覆データGLCNMO2008 の作成

地球地図プロジェクトの一部として、国土地理院、世界の地図作成機関の協力を得て、MODIS データ(2008)を用いて、画素サイズ緯度経度15 秒(赤道で約500 m)のグローバル土地被覆図を作成しました。成果データは地球地図およびCEReS のホームページから公開されています。

地理空間データの国際クラスターによるデータ共有システムCEReS Gaia の構築と運用

2012 年に初期版が完成し運用を始め、2014 年には改訂版に更新しました。インドネシア大学および他の大学(計画中)のサーバとクラスターを組み、さらに拡張が可能です。衛星データ、地理データ、現地写真などの地理空間データの国際共有を推進するシステムです。このデータは下記より研究者コミュニティに公開されています。(ユーザー登録制)
http://gaia.cr.chiba-u.jp/portal/

衛星データ・環境データの公開

本センターでは、静止気象衛星データのみならず、様々な地球観測衛星データを処理・公開しています。公開しているデータフォーマット、所在を示すナビゲーションとしてwiki を作成し、ユーザがより使いやすいようにしています。

食糧安全保障パッケージ

2013 年度より、高時間分解能衛星日射プロダクトEXAM および降水プロダクトGSMaP を入力として、統合陸面過程モデルSiBUC および作物生長モデルSIMRIW を組み合わせることで、より詳細な陸面パラメータおよび収量推定に関する研究を推進しています。現在までに上記の一連の処理を一括実施するためのパッケージング化を行いました。

東アジア域における窒素酸化物の大気中濃度の時空間変動に関する定量的解析

2012 年に千葉大学に大気環境中の多成分(ガス・エアロゾル)を観測するための最先端の地上リモートセンシング装置(MAX-DOAS)を新設した。MAX-DOASによる窒素酸化物の大気中濃度の連続観測を東アジア域の複数地点で実施し、また、観測手法の評価・改良を実施しました。さらには、この地上観測を活用してAura 衛星データの検証を行い、2005 年から2014 年までの東アジア域における窒素酸化物の大気中濃度の時空間変動を定量的に明らかにしました。

 

千葉大学環境リモートセンシング研究センター
タイトルとURLをコピーしました